近年DIYを利用して自宅に井戸を掘るという人が増えてきており、電気代以外は水道代がかからない点や天然水で飲みやすい点などから、
自宅以外でも様々な施設で井戸を掘りたいと考えている人が増えてきています。
特に企業や公共の施設などの場合は経費を削減できるのはもちろん、手軽に安全な天然水である井戸水を飲料水としてだけではなく、
様々なサービスに提供できるようになるため、導入を検討しているところも少なくありません。
最近多くなっている自然災害などによる断水時の水源確保を目的として、井戸を新設したりするケースも増えているようです。
そんなメリットの多い井戸水の導入ですが、導入前に注意しておかなければいけないのが水質検査の存在です。
日本には水道法という法律が設けられており、その中で井戸水を飲料水として利用する際には事前に水質検査を受けるのが義務であるとされています。
そのため企業や施設などが井戸水を飲料水として提供する際には事前に井戸水の水質検査を受ける必要があり、
その結果によって飲料水として井戸水を提供できるのかどうか審査してもらわなければいけないのです。
井戸水の水質検査をしなければいけない理由は水質の衛生確保のためであり、飲料水として摂取した際に健康被害が出ないように、
さらに健康被害が拡大するような事態を予防するために実施されています。
これは企業主や施設の管理者に課せられている義務であり、井戸水を飲料水として提供する場合は必ず事前に受けておく必要があります。
ただしこれはあくまでも、事業等で井戸水を飲料水として提供する場合に課せられている義務であり、個人の住宅で飲料水として飲む場合は義務ではありません。
個人の場合は水質検査に関しては受けるか受けないかは自己判断に任されていますし、検査をせずに飲料水として利用する場合は自己責任で対応するように指示されています。
ただし年に1回は水質検査を受けるように推奨されているので、個人と事業での水質検査に関する義務の違いは把握しておかなければいけません。
井戸水の水質検査は有料で行われており、全てで51項目の検査水準をチェックしていきます。
厚生労働省ホームページ:水質基準項目と基準値(51項目)
引用元:“https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/kijunchi.html
検査方法としては井戸水のサンプルを採取するだけなので、検査自体はとても簡単になっており、井戸を傷つけたり何らかの大きな作業を必要とするわけではないようです。
ただし検査結果に関してはその場ですぐに判明するというわけではなく、サンプルを検査する施設へ持ち込んでからおよそ2週間前後ほど結果が出るまでかかるようです。
検査によって飲料水として安全に飲めるものなのかどうかがわかるようになっており、51項目すべてをクリアするのが望ましい結果ではあるのですが、
土地の性質によってはどうしても引っかかってしまう部分もあるので、項目をすべてクリアする必要はないと言われています。
あくまでも必要な項目をクリアしていれば飲料水として利用できると判断されるので、おいしい水が飲めるかどうかを判断するわけではないようです。
また井戸水の水質検査の義務は利用する前に受けるだけではなく、異常が無くても3年に1回ほどの定期的な検査を推奨しています。
定期な検査が必要な理由としては、時間の経過とともに土壌の状態の変化がみられる可能性があり、変化の様子によっては井戸水が飲料水として利用できなくなる可能性があるためです。
検査については各自治体の管轄部署や該当地区の保健所などが管理担当になりますので、詳細を確認したい場合は該当部署に問い合わせした方が良いでしょう。
厚生労働省ホームページ:水質検査計画の策定
特に井戸の周辺に工場施設があるなど土壌に何らかの影響を与える可能性があるエリアの場合は、
できる限り定期的に水質検査を行って飲料水としての井戸水が確保できるかどうか確認しておくのが大切です。
このように、企業や施設などが井戸水を飲料水として提供している場合は定期的な水質検査が義務付けられているので、
利用する際の費用の内訳として検査費用も計算しておく必要があります。
また水質検査はあくまで飲料水として利用できるかどうかの判断基準なので、おいしい水を提供したい場合にはまた別の作業が必要となっています。