日頃、当たり前のように私たちの周りに存在している空気。
室内の空気がきれいだと、埃や花粉症などのアレルギー症状を抑えることができたり、深い眠りにつけるなど、心身ともに健やかで快適な生活を送ることができると言われています。
特に、工場やオフィスなど空気が滞りやすい大型施設では、快適な環境を保つために空調が非常に重要な役割を担っています。
今回は、大型施設での空調の種類や空調システムの特徴、なぜ空調が重要な設備なのかといった空調の基本を説明していきたいと思います。
「空調とはそもそも何?」と思う人がいるかもしれません。
空調は、正式には「空気調和設備」と言います。温度や湿度、気流や清浄度の四要素をコントロールして、その空間の用途や目的に合わせた適切な空気環境をつくり出すシステムのことです。
参考:空気調和設備/ウィキペディア(Wikipedia):“空気調和設備
参考:【空調制御】快適空間は 空気の流れが肝心! /創考喜楽“【空調制御】快適空間は 空気の流れが肝心!
そもそも、人が1日に摂取する空気の量は、食べ物や飲み物が7〜8%なのに対して80%と圧倒的な割合をしめています。
そのうち1日に摂取する量の50%以上が室内空気となりますから、室内の空気をきれいに保つことは、わたしたちが健やかで快適な生活を送る上でいかに重要かということがわかります。
空気環境は、季節や個人によって快適に感じる温度や湿度が変わってきます。オフィスビルなどの温度や湿度は、夏と冬で分けるのが一般的です。夏は温度26℃で湿度50〜70%、冬は温度22℃で湿度が40〜60%。
高温多湿の環境では食中毒をおこしやすくなりますし、寒い乾燥した空気の環境では風邪やインフルエンザがおこりやすくなります。
特に大型施設の場合、密閉性が高いので、私たちの身のまわりにある埃やカビ、たばこの煙や建築材などから揮発する有害化学物質が、空気中に滞うことなく循環して快適な空気環境を保つことがとても大切になってきます。
一般住宅の場合は、窓を開けることで部屋の空気を入れ替えられますが、大型施設は気密性が高いため定期的に空気を入れ替え、空気中の二酸化炭素の濃度を減らす必要があります。
また室内の湿度がコントロールできていないと、湿気によって結露が商事、ダニやカビが発生しやすくなります。
規模の大きな施設になればなるほど、出入り口からの換気だけでは不十分ですし、たとえ出入り口から空気の換気をしたとしても上層階までは届きません。
参考 空調で快適で健康的な室内環境に!知っておきたい6つのこと
工場やオフィスなどの大型施設に設置されている空調は、大きく分けて2種類あります。一つが個別空調で、もう一つがセントラル空調です。
個別空調は、フロアをそれぞれ別の会社に貸し出していて部屋ごとに空調のオンやオフ、冷暖房の切り替え、温度の調整ができるタイプです。中規模以下のビルの多くは、この空調方式を取り入れいます。
必要な時にだけ使用したり、空調の設定を自由に変更できるというメリットがありますが、使用した分が料金に反映されるというデメリットがあります。